【インタビュー】2020年3月14日(土)雪解け

【インタビュー】2020年3月14日(土)雪解け

2020年3月14日(土)に東京・日暮里サニーホールコンサートサロンで雪解けを開催いたします。リサイタルに向けて出演者の大光嘉理人さん、吉澤知花さん、今川結さん、稲垣真奈さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。

大光: この先の音楽人生の中で深めていきたいと個人的に考えている弦楽四重奏という編成の奥深さをぜひたくさんのお客様に味わっていただきたいです。
時代の異なる2人の作曲家が4挺の楽器を用いて鮮烈に描き出すその世界をお楽しみください。

吉澤:この1年を共にしてきたメンバーと今回このようなコンサートをできることをとても光栄に思います。素晴らしい音楽家の皆と演奏できることがとても楽しみであり、みなさんと素敵な時間を過ごせたら幸いです。

今川:今回1時間プログラムということで、できるだけ内容の濃い時間にしたいなと思い、ハイドンとシューマンという作曲家を取り入れました。特にシューマンは時間をかけてリハーサルをしてきたので、良い時間をお客様と共有させていただけたらなと思います。

稲垣:私が室内楽で最も難しい、かつ最も美しいと感じる編成、弦楽四重奏で奏でる音楽を最大限に表せたらいいなと思っております。また、演奏者と会場のお客様が一体となれるような演奏会にしていきたいです。

演奏される曲の聴き所などを教えてください。

大光:(ハイドンについて) 弦楽四重奏曲の父とも言われるハイドン。
当時、現代で言うところのロックスターのようなカリスマ的存在であったハイドンは聴衆を驚かそうと常に音楽的に新しい挑戦をしていました。
この作品の副題にもなっている騎士はこの曲の第4楽章のテーマがまるで馬に乗っているかのようだったために付けられたものです。4つの楽器による対話、遊びをご堪能ください。

吉澤:(シューマンについて) 二曲目に演奏するシューマンは、溜息のように奏でられる主題から始まりそれは愛妻クララを連想させます。とても繊細で美しいシューマンの世界を感じていただけたら幸いです。

今川:(ハイドンについて) この「騎士」という副題は、4楽章の冒頭部分を聴いていただければすぐに分かるように、軽快なリズムから、馬が蹄で走っている音、そんな騎士の姿を連想したとこから付けられました。
同時期に書かれたハイドンの弦楽四重奏曲の中でも、この「騎士」は楽しみと活気で溢れている曲ではないでしょうか。
また、2楽章のラルゴはハイドン自身の編曲によるピアノのソナチネアルバムの収録曲としても知られています。

稲垣:(シューマンについて) 作曲された1842年はシューマンが精神病を発症した年です。複雑な曲構成や激しい和声が現れる一方で、曲中何度も繰り返される愛妻・クララを呼びかけるモチーフ、微妙な和声の移ろいがとても美しい曲です。作曲家の意図を読み取りつつ、演奏者それぞれの想いを反映した演奏を目指します。

あなたにとって音楽とは何ですか。

大光:生きる喜びであり自分自身との対話です。音楽に悩み、苦しみ、葛藤し、もがきながらもふとしたその瞬間に希望や喜びを感じ、救ってくれるのもまた音楽だと最近特に感じます。人々に感動を届ける音楽家になりたいと幼い頃から思っていましたが、音楽を鳴らすとき、一番生きているという事を実感しているのは演奏家である自分自身なのではないのかと思います。

吉澤:自分の心やメンタルを安定させてくれるものであり、常に私を支えてくれるものです。
そして人間にとって無くてはならない存在だと思います。

今川:私にとって音楽は、一言で言い現わすのは難しいですが、自分の中にある感情を表現するものであり、私という人間をつくってくれているものだと思っています。約20年音楽をやってきて、生活の中にかかせないものです。

稲垣:自分の知らない世界を体験できるものです。もちろん音楽をする上で、自身の感情や経験を投影する場でもありますが、それと同時に、日常では体験できないことを音楽によって知る。そのような特別なものです。

演奏会情報

2020年3月14日(土)雪解け
会場:東京・日暮里サニーホールコンサートサロン
時間:19:30開演(19:00開場)
料金: 全席自由 2,500円

出演者

大光 嘉理人
Violin

中部フィルハーモニー交響楽団及び名古屋フィルハーモニー交響楽団と共演。弦楽四重奏団Lessismoreのメンバーとして、初のNY公演を成功させる。2019年PMFアカデミーに参加。横浜シンフォニエッタシーズンメンバー。BoschConsortコンサートマスター。東京藝術大学大学院音楽研究科1年に在学中。

今川 結
Viola

兵庫県出身。愛知県立芸術大学を首席卒業。卒業時に桑原賞を受賞。現在、東京藝術大学大学院修士課程在学中。ヴィオラスペース、東京・春・音楽祭等に出演。A.タメスティ、T.ツィンマーマン各氏のマスタークラスを受講。これまでに杉山雄一、川﨑和憲、臼木麻弥、百武由紀の各氏に師事。現在、NHK交響楽団アカデミー生。

吉澤 知花
Violin

3歳よりヴァイオリンを始める。第59回鎌倉音楽コンクール第2位。第10回横浜国際音楽コンクール室内楽一般の部審査員特別賞。ヴァイオリンを山﨑貴子、松原勝也の各氏に、室内楽を植村太郎、大友肇、菅谷早葉の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て東京藝術大学音楽学部3年に在籍。

稲垣 真奈
Violoncello

第73回全日本学生音楽コンクール全国大会チェロ部門大学生の部第3位。第10回横浜国際音楽コンクール室内楽一般の部審査員特別賞。IMA奨励賞2018。チェロを苅田雅治、毛利伯郎、バロックチェロを鈴木秀美の各氏に師事。東京藝術大学附属音楽学部音楽高等学校を経て、同大学学部3年に在籍。

曲目

J.ハイドン:弦楽四重奏曲 第74番 作品74-3「騎士」

R.シューマン:弦楽四重奏曲 第3番 作品41-3