【インタビュー】2022年1月27日(木)前田領愛ヴァイオリンリサイタル

【インタビュー】2022年1月27日(木)前田領愛ヴァイオリンリサイタル

2022年1月27日(木)に大泉学園・ゆめりあホールで前田領愛ヴァイオリンリサイタルを開催いたします。リサイタルに向けて前田領愛さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。

武蔵野音楽大学大学院の博士課程を、今年(2021年)の8月に修了することができ、その集大成という位置付けで、今回のリサイタルを計画いたしました。ただ、夏頃の新型コロナウイルス感染症の拡大の懸念から、当初予定していた10月の開催をいったん見送ることになり、あらためて日を取り直しまして、2022年1月27日(木)に開催の運びとなりました。今回は様々な様式の作品を演奏いたしますが、1曲1曲の魅力を引き出せるような演奏をしたいと思っております。

演奏する曲の聴き所などを教えてください。

博士課程の論文のテーマとして取り上げた、アメリカの作曲家ヴィンセント・パーシケッティ(1915-1987)をはじめとして、様々なタイプの作曲家を取り上げてみました。
最初にフランツ・シューベルト(1797-1828)のヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番 ニ長調を演奏いたします。彼の歌曲にも通ずるような、非常に親しみやすい旋律が特徴です。
2曲目に演奏いたしますのは、ヴィンセント・パーシケッティ(1915-1987)の幻想曲Op.15です。博士課程の論文で取り上げた作曲家の作品で、音色や音量が頻繁に移り変わる実験的な内容となっている作品です。
(本作品は出版されておらず、自筆譜が遺された状態です。自筆譜を所蔵しているニューヨーク・パブリック・ライブラリーに、今回の演奏会で演奏したい旨を申請し、許可を得て演奏いたします。)
3曲目は、イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)の作品《ペルゴレージの主題と断章と小品による組曲》を演奏いたします。この作品は、ストラヴィンスキーが1920年に完成させたバレエ音楽《プルチネルラ》を、5年後の1925年に彼自身がヴァイオリンとピアノ用に編曲したものです。ペルゴレージというのはイタリアの作曲家ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージ(1710-1736)のことで、《プルチネルラ》は、ペルゴレージの作品(当時はペルゴレージ作と推測されていた、別の作曲家のものを含む)を現代風に「改作(アレンジのような感じです)」するという企画で作曲されました。ヴァイオリンのパートは非常に技巧的に書かれていて、ヴァイオリン作品としての演奏効果が高いものとなっています。
4曲目は、アメリカの作曲家ドナルド・グランサム(b.1947)の無伴奏ヴァイオリンのための作品《フランシスコ・ゴヤの4つのカプリース》を演奏いたします。4つの曲から成る本作品には、スペインの画家であるフランシスコ・ゴヤ(1746-1828)が1799年に出版した、『Los Caprichos』という版画集のなかの作品名が、標題として4つの曲それぞれに付けられています。4曲それぞれが4~5分ほどの無調の曲で、独特の作品世界を持つ作品です。
最後に演奏いたしますのは、モーリス・ラヴェル(1875-1937)のヴァイオリン・ソナタです。ト長調という調性はありますが、半音違いの和音を同時に鳴らすなど、複数の調性が組み合わされて進行する部分が多いために、全体的にどことなく不安定な響きになっていることが特徴です。
このように、今回の曲目は、5曲それぞれが全く異なった性格を持っています。作品ごとの性格や様式の違いをきちんと表現し、作品の魅力をお客様にお伝えできるようにしたいと思っております。

演奏会情報

2022年1月27日(木)前田領愛ヴァイオリンリサイタル
会場:大泉学園 ゆめりあホール
時間:19:00開演 (18:30開場)
料金: 全席自由 2,500円

出演者

前田 領愛
Eria Maeda, Violin

東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京芸術大学音楽学部器楽学科ヴァイオリン専攻卒業。武蔵野音楽大学大学院博士前期課程(修士課程)ヴィルトゥオーソコースを経て、同大学大学院博士後期課程修了。ヴァイオリンを柴香苗、山中光、玉井菜採、清水高師、木野雅之の各氏に師事。また博士後期課程で深山尚久氏の指導を受ける。講習会等で、ロバート・ダヴィドヴィチ、エスター・ペレーニ、ピエール・アモイヤル、キム・ナムユンの各氏の指導を受ける。ピアノを重松万里子氏に師事。2009年、第3回横浜国際音楽コンクール弦楽器部門高校の部第2位。2015年、第3回ユーロアジアヤング国際コンクールOver18の部第4位。同年、第18回ブルクハルト国際音楽コンクール弦楽器部門最高位。2014年6月、前田領愛ヴァイオリン・リサイタル開催。2016年度、2017年度武蔵野音楽大学福井直秋記念奨学金給費奨学金奨学生。

山口 ちなみ
Chinami Yamaguchi, Piano

和歌山県新宮市出身。大阪芸術大学演奏学科を首席で卒業。卒業時に学長賞を受賞。武蔵野音楽大学大学院博士前期課程器楽専攻ヴィルトゥオーソコース修了。在学中にソリストオーディションに合格し、武蔵野音楽大学管弦楽団と国内及びドイツにてベートーヴェンの協奏曲第3番を演奏。読売新人演奏会、関西新人演奏会、若い音楽家達の飛翔、むさしのフレッシュコンサート、和歌山県新人演奏会等に出演。第9回かがりの里音楽コンクール第1位、第21回日本クラシック音楽コンクール第5位(1~3位なし)、第14回北関東ピアノコンクール第1位受賞。ピアノを丹羽節、中村勝樹、重松聡、伴奏法を三ッ石潤司、室内楽をC.ドルの各氏に師事。マスタークラスなどでK.ゲキチ、J.L.プラッツ、J.ダムガード、P.クーイデルの各氏から指導を受ける。2017年12月には紀尾井ホール、2018年1月には東京文化会館小ホールにてリサイタルを行う。また、室内楽では小森谷巧、古川展生、枝並千花、アイシャ・シエド、二胡奏者の許可(シュイ・クゥ)の各氏、読売日本交響楽団のメンバーによるカルテット等と多数共演。

曲目

F.シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第1番 ニ長調 作品137-1, D 384


V.パーシケッティ:ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 作品15


I.ストラヴィンスキー:ヴァイオリンとピアノのための《ペルゴレージの主題と断章と小品による組曲》


D.グランサム:無伴奏ヴァイオリンのための《フランシスコ・ゴヤの4つのカプリース》


M.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ(第2番)ト長調