【インタビュー】2022年5月21日(土)神谷玲子ピアノリサイタル第10回~躍動する春の調べ~

【インタビュー】2022年5月21日(土)神谷玲子ピアノリサイタル第10回~躍動する春の調べ~

2022年5月21日(土)に日暮里サニーホール・コンサートサロンで神谷玲子ピアノリサイタル第10回~躍動する春の調べ~を開催いたします。リサイタルに向けて神谷玲子さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。

インタビュー

今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。

毎年のように開催させて頂いておりますこのリサイタルも、お陰様で、10回目を迎える事となりました。10回目という大きな節目にあたり、今までの総決算という捉え方で特別な思いで臨んでおります。
また、東京国際芸術協会のスタッフの皆様には、今までいろいろと支えて頂き、大変感謝しております。心より、感謝申し上げます。ありがとうございました。

演奏する曲の聴き所などを教えてください。

さて、ここまで10回全て春の開催で、これまでも春にふさわしい曲を選んでまいりました。
今回もノルウェーの作曲家シンディング(1856~1941)の「春のおとずれ」という、春らしい柔らかな響きの美しい作品から始めたいと思います。あまり知られていない作品ですが、1990年までに何と120万部が印刷され大変な「ヒット」を飛ばしました。しかし社会状況の変化と共に、その後供給が途絶えてしまいました。しかし、今こそおそらく再評価されていくべき1曲ではないかと感じますので、是非一度お聴き頂きたいと思います。

次にフォーレ(1845~1924)49歳の円熟しつつあった頃の作品です。編曲は、ピアニストのコルトーです。コルトー曰く「この曲は、子供の本性の最も優しいニュアンスが表わされている」と書き残しています。<ドリー>より3曲(子守歌、キティーワルツ、スペイン舞曲)を聴いて頂く予定です。知人のバルダック家の末娘エレーヌのために1894~97に書かれたもので。エレーヌの成長とともに年ごとに書き換えられました。1子守歌は、揺りかごがゆれているような感じでテンポもゆるやかです。4キティ・ワルツは子猫のワルツという意味で、流れるように弾かれます。1896年のお誕生日の献呈です。6スペイン舞曲は、非常にはっきりしたリズムで一貫して明るい感じの曲調です。

フォーレはショパンのスタイルによった作品が大部分でありますが、フランス芸術の持つ謙譲な趣味、洗練された感覚、大胆なアクセント、が独特です。微妙な和声の変化も、とてもが印象的です。シューマンの「子供の情景」ドビュッシーの「こどもの領分」とともに、作曲者の情緒が読み取れる作品となっています。この曲集は本来連弾曲なのですが、今回はコルトー編曲のピアノソロで演奏させて頂くことに致しました。連弾とは少し違った趣があるかと思いますので、お楽しみ下さい。

そして、今回最も多くの作品を取り入れましたショパン(1810~1849)の作品へと進みます。
昨年はショパンコンクールが開催され、私もこの様子をYouTubeでよく見ていました。同じ曲でも、表現が演者により様々で、とても面白く感じました。固定観念にとらわれずに新しいテクニックを使って自己表現をなさる方や、オーソドックスな演奏でしかも説得力がある方、目も眩むようなテクニック、などそれぞれに素敵で心惹かれるピアニストばかりでした。皆様の中にも、きっと同じような感想を持たれた方がいらっしゃるのではないでしょうか?日本人の素晴らしい活躍が目立つ回でもありましたね。コンクールですから順番がつくのですが、そんなことよりも本当に真剣に音楽と向き合って、プレッシャーも跳ね除けて作品に没頭して演奏なさる姿は、本当に気高ささえ感じました。人前でも無心で楽しんで演奏することがいかに大事か考えさせられましたし、学ぶところの多いコンクールでした。その感動を受けて、ショパンに真剣に向かいあい演奏したいと思います。

なぜか日本ではあまり演奏されないマズルカですが、これこそ、ショパンの本質を多く垣間見ることができるように感じますので、趣の違う3曲を選んで挑戦させて頂く事にしました。ポロネーズが貴族社会のものならば、マズルカは、庶民階級のものといえるようです。作品17-4イ短調は、描写的な性格を持ち荒涼たる絶望感にあふれています。作品30-3変ニ長調は、非常に輝かしく、貴族的でフランス風な趣があり、又、ポーランドの精神が感じられます。作品33-2ニ長調は、絢爛たるもので、歌手のポーリーヌ・ガルシア=ヴィアルドにより独唱曲に編曲されていますので有名となっています。
同一楽句が16回も繰り返されています。1つの楽しい思い出をぐるぐる廻る天真爛漫さを表しています。

続いて、エチュード作品25-11イ短調「木枯らし」に移ります。4小節のレントの序奏の後、アレグロになり高音部からなだれ落ちるように始まります。時に激しく、ある時は堂々と、あるいは切なく聞かせます。この曲を選んだのは、いつも私のコンサートにご来場下さる方からのリクエストによるものです。技巧的に難しい1曲ですが皆様に喜んで頂けるよう頑張りたいと思います。

最後はスケルツォ2番作品31変ロ短調で締めくくりたいと思っております。これも大変心を動かされる作品ですので、聴いて頂きたいと考えています。
1837年に出版された作品ですが、その前年にショパンおきたプライベートな出来事と切り離しては考えられないと思います。ショパンはマリア・ヴォジンスカに結婚を申し込んだのですが、彼女の母は、彼の健康に不安を抱き、首を縦にはふりませんでした。結局最後はマリアも家族に諭されて、結婚を諦めました。しかし、一方のショパンはなかなか諦めきれない状態でした。そのような状況下、丁度その頃ジョルジュサンドが現れ、彼女の館にショパンを積極的に招待しようとしていました。でもショパンの心は動かなかったようで、悲しみの真っただ中だったようです。この頃作られた作品ですから、感情の起伏の大きい青年の心の動きととらえることができます。暗さ、抑圧、軽快さ、失望、やすらぎ、感動などすべてがここに集約されている作品です。
以上のプログラムで演奏会を予定しております。

あなたにとって音楽とは何ですか。

コロナ禍でふさぎ込みたくなる日々が長く続いておりましたが、2年経ち、もうそろそろ殻を破って楽しい事に没頭して、人生を謳歌したいと思いませんか?
音楽は、私の人生の支えです。命ある限り大切にしたいと思います。少しでもこの思いをお届けできたら本望です。
2022年5月21日の土曜日3時半~、皆様の貴重なお時間を1時間だけお借り頂けたら幸いです。
皆様の笑顔が会場に弾けることを楽しみにしております。では会場で心より、お待ちしております。

演奏会情報

2022年5月21日(土)神谷玲子ピアノリサイタル第10回~躍動する春の調べ~
会場:日暮里サニーホール・コンサートサロン
時間:15:30開演(15:00開場)
料金:全席自由 2,000円

出演者

神谷玲子 Reiko Kamiya ピアノ

武蔵野音楽大学ピアノ科卒。エッセンフォルクヴァンク芸術大学卒。「エレーナリヒテル国際ピアノコンクール」第3位。「万里の長城杯」第2位。「長江杯」第3位。「アジア国際文化芸術フェスティバル」優秀賞。「全日本クラシック音楽コンサート」優秀賞。「東京ピアノコンクール」審査員賞。ピアノリサイタル、二台ピアノコンサート他、日本ニューフィルハーモニー管弦楽団、TIAA管弦楽団と共演。故デトレフ・クラウス、故小川冨美子、故梅谷明、故石井三恵各氏に師事。太田国際音楽セミナーにて、ウラディミール・トロップ、リュドミラー・プルゥーシニク、故イーゴリ・ニコノビッチ、イーゴリ・レべデフ各氏に師事。

曲目

シンディング:6つの小品 作品32より 第3番 <春のささやき> 変ニ長調

フォーレ:組曲[ドリー]作品56より(アルフレッド・コルトー編曲)

フォーレ:<子守歌> ホ長調

フォーレ:<キティー=ワルツ> 変ホ長調

フォーレ:<スペイン舞曲> ヘ長調

ショパン:マズルカ13番 作品17-4 イ短調

ショパン:マズルカ20番 作品30-3 変ニ長調

ショパン:マズルカ23番 作品33-2 ニ長調

ショパン:エチュード 作品25-11 木枯らし イ短調

ショパン:スケルツォ第2番 作品31 変ロ短調