【優秀指導者賞受賞者インタビュー】内海郁先生

【優秀指導者賞受賞者インタビュー】内海郁先生

2024年に開催された「第3回東京国際管弦声楽コンクール」では、23名の先生が優秀指導者賞を受賞しました。

今回は人とのつながりやご縁がある事・音楽を通じて何か喜びや明るさ・優しさのある空間を保つことをいつも忘れずご指導されてきた内海先生にお話しを伺いました。

インタビュー

この度は第3回東京国際管弦声楽コンクール優秀指導者賞受賞おめでとうございます。弊会コンクールに関して先生の感想やご意見、レッスンされている際に心がけていること等をお聞かせいただければ幸いです。

早速ですが、ご入賞された生徒様にはどのような言葉をかけられましたか?

入賞させて頂きました生徒が複数人おりますのでお一人ずつにお声掛けしました内容をお書きします。
・ミュージカル高校生部門の生徒
小学生の時からご指導をさせて頂いておりますが、今回のコンクールに寄せる想いや取り組みは本当に充実したお時間でした。色々な出来事を振り返り、一緒に音楽を作り、同じ気持ちでステージで演奏させて頂いたことは本当に楽しく、貴重な学びとなりました。本番を終えて舞台袖に戻った時は、一緒に力を尽くせたことへの安堵と喜びの気持ちが溢れた事を今も鮮明に覚えています。発表が本番2日後でしたので、ご本人から入賞のご連絡を頂いた時は本当に嬉しく、彼女の持つ魅力と努力が形となったことへ【おめでとう】の言葉とご指導させて頂いていることや伴奏をさせて頂いたこと、一緒にこの素晴らしい経験が出来た事に【ありがとう】の気持ちをお伝え致しました。

・ミュージカルマスターズ部門の生徒
大人になっても、音楽を愛しご自分の夢への道を進まれるお二人はお仕事をしながらの挑戦、本番は楽しむこと、自分らしく演奏することを忘れずにお二人がそれぞれに温かい歌声をご披露して下さいました。結果に喜びの気持ちを持ちつつ、頂いた先生方からの講評を拝読し更なる研鑽や目標もお話下さるお二人を見てコンクールが与えてくれる、生きる力ややりがいがこれからの目標となることを大変嬉しく感じました。

お一人お一人のお言葉がけをありがとうございます。先生は幅広く生徒様のご指導をされており、たくさんの努力や葛藤がある中、生徒様がこのような形で素晴らしい成果を導かれた時は大きな達成感とやりがいを抱かれたことと感じます。

生徒様お一人お一人へお声がけされた時の生徒様のお気持ちなどありましたらお伺いできたらと思いますがどのようなご様子でしたか。

第3回大会ではミュージカル高校生1名、ミュージカルマスターズ2名、計3名の方が成績を頂きました。コンクール明けに各生徒様より振り返りのお言葉やお手紙、メッセージを頂いておりましたので各生徒のメッセージをあげたいと思います。

ミュージカル高校生部門
小路 凛佳さん
まさか入賞できるとは思っていなくて、とても嬉しかったし、先生にも「ついにやりましたね!」と言っていただけて、今まで長い間先生にご指導して頂いたことが、結果に結び付けられたことはとても嬉しかったです。また、結果ももちろん大事ですが、自分と先生が今までで1番満足のいく楽しい演奏ができ、舞台袖にはけた瞬間に「良かったよ!!」と言っていただけたことがいちばん嬉しかったです。

ミュージカルマスターズF部門
板垣 結衣さん
コンクール終了後、先生から成績だけでなく、当日の演奏やこれまでの取り組みについてもお褒めいただき、毎日歌と向き合い続けて本当に良かったと心から思いました。選曲の迷い、長い期間1曲に向き合い完成させていく中での不安、体調面の悩み等、沢山の葛藤や挫折がありましたが、先生は長い期間、真剣に私とそして私の演奏と向き合ってくださり、支えてくださいました。そのお陰で私も妥協することなく良い演奏をするために追求し続け、技術だけでなく精神力や忍耐力等様々な面で成長することが出来たと感じています。本番でも伴奏で支えてくださり、演奏後下手に捌け、先生と目を合わせて「よし!」と頷き合った際は先生と一緒に最高の演奏が出来たと実感しました。また、その後先生から「楽しかった!」とお言葉をいただけたことも嬉しかったです。これからも先生と一緒に演奏させていただけることが更に楽しみになりました。二人三脚のようにご指導いただき、常に温かいお言葉で励まし寄り添ってくださった先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

ミュージカルマスターズF部門
柴田 真央さん
内海先生は熱心な歌のご指導だけではなく、常に私達生徒に寄り添い、傍で励ましのお言葉を下さいます。自身の歌に悩んでいた時に、精神的にも支えていただきました。また、私がコンクールという新しい挑戦に踏み込めたのも内海先生のおかげです。順位や名誉な賞を目標にする事も大事な事ではあるが、まず優先すべきは自分自身が音楽を楽しむ事だという重要性を内海先生は教えて下さいました。まだまだ未熟ではありますが、そういった内海先生の手厚く愛のあるご指導があっての今の私の音楽があります。

ありがとうございます。生徒様お一人お一人のメッセージから内海先生らしさが表現されますね。生徒様個々の成長を願う優しさと、そのために必要な厳しさを兼ね備えた先生の愛あるご指導が結果へと導かれたのだと感じました。

今回のコンクールで1番印象的だった思い出や出来事はありますか?

准本選を終えてから、本選までの期間は生徒の皆さんと内容の濃いお時間を過ごしました。准本選で頂いた講評や動画を確認し、ファイナルの舞台をどう演じるか・・・それぞれに研究を重ねられて、一緒に考え生徒と先生の枠を越えたお時間を過ごすことが出来ました。不安や緊張から、お気持ちが不安定になり何時間もお電話でお話をした生徒さん、大会当日、前の演奏者のステージを拝聴し【先生!このホールは少し響きにくいかもしれません!】と私よりも先に会場の空気感を感じ、適格な状況把握をして下さった生徒さん、コンクールで経験された色々な学びがしっかりと舞台人としての技術として身についていることを大変嬉しく思いました。

先生のように先生と生徒様との間でコミュニケーションをしながら、より良い関係、信頼性から構築された成果が音楽へと導かれ結果として現れているように感じます。
私自身も学生時代クラリネットを学んできて、コンクールへ参加した経験がありますが不安や緊張から気持ちが不安になった時、同じように先生から電話で励ましと勇気をもらったことが心に残っています。やはり生徒様の成長が感じられた時に共に達成感が感じられますね。因みにレッスンの中で大切にされていることは何ですか?

レッスンには3歳~大人の方まで様々な年齢の方がいらっしゃいます。音楽教育も時代の流れや習い事・趣味としての感覚的なものも大きく変わってきているように感じます。大切にしていきたいことはお稽古が技術を身に着け、向上して頂くことを軸にしながらも人とのつながりやご縁がある事・音楽を通じて何か喜びや明るさ・優しさのある空間を保つことをいつも忘れずにいたいと思っています。感謝の気持ちが信頼を結び、音楽がお互いの喜びになって周囲の人たちにも繋がりの輪が広がることを嬉しく思います。

そうですよね、現代社会が時代の流れと共に変化しているように、音楽を通して学ぶ私たちにも大きな変化が期待されますね。
生徒様と先生との関係性が深くなれば、それが音に繋がりさらなる個々の成長へと導かれると信じています。先生は理想の講師像のようなものはありますか?

音楽は環境や条件が無くても、特別な人だけではなく経験のない人でも何歳からでも始めたい!と感じた時がスタートだと思っています。生徒さんの夢や目標への道を一緒に進み、良き時も課題が残る時も、真剣で丁寧な指導をこれからも続けていきたいと思います。

私も同じく音楽は環境や条件に左右されず多様な学び要素があると感じてます。生徒様個々で目標が異なりそれぞれの個性や才能に合わせた指導をすることは難しいことと感じますが、生徒様とのコミュニケーションを通じ、寄り添い、成長をサポートすることは生徒様の自己肯定感を高めることでもあり、また一番の支えであると感じました。

最後に今回ご入賞された生徒様へ日頃なかなか直接言えないメッセージなどがあればお願いいたします。

日頃よりレッスンへのご理解やご協力を賜りましてありがとうございます。皆さんとこのコンクールの期間、長く熱いお時間を一緒に過ごせたことは本当に大切な思い出になりました。そして伴奏をさせて頂き、一緒に一つの本番を経験させて頂けたことに感謝申し上げます。
皆さんが緊張の表情で舞台袖で待つ時も、演奏が終わり舞台袖の戻り、お互いに目を合わせ【出来た!】と喜びを分かち合える時も一緒に居られることが私には大切なお時間となっています。これから、皆さんがまた新しい目標に向かい歩みを始める時に、きっとこの経験が自信となり道は開けていくと信じています。これからも皆さん一人一人がご自分らしく音楽や歌を楽しんで欲しいと思います。
この度の御入賞本当におめでとうございます。

インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。

プロフィール

内海 郁
うちうみいく, ミュージカル

札幌大谷高等学校音楽科ピアノ専攻卒業・札幌大谷短期大学音楽科声楽コース卒業。声楽を綿貫美佳、元劇団四季荒川久美江、雨貝尚子、荒木栄子各⽒に、ピアノを秋元恵理子、福士かおる、熊谷玲子各氏に師事。北海道にてミュージカル・宝塚音楽学校受験指導・合唱・声楽・子どもの歌・ピアノ・ソルフェージュ・伴奏法まで音楽科目の全般を指導。コンサート活動と共に幼稚園・小中学校・合唱団の指揮や歌唱指導も行う。2018年・2020年Child AiD Asia Tokyo【こどもの未来を拓くコンサート】2018年台湾原声童声合唱団を迎え日台親善コンサート出演で世界の子ども達との音楽を通じての文化交流活動にも尽力する。札幌厚生病院トワイライトコンサートや福祉施設等でのコンサートを企画出演し、音楽の力・演奏の楽しさを広める活動も行う。現在は子ども歌唱・ミュージカル子役指導・俳優養成や音楽学校受験指導の他ステージマナー・所作指導・オーデション面接対策も行い夢に向かう子供達のプロデュースも行う。
【指導実績】
2022年宝塚音楽学校110期合格、劇団四季「ライオンキング」ヤングシンバ合格、劇団四季「サウンドオブミュージック」子役合格、ミュージカル「赤毛のアン」合格、ミュージカル「スクールオブロック」合格、第1回全日本童謡子どもの歌コンクールグランプリ・ベヒシュタイン賞・審査員長【米良良一先生】賞、第34回童謡こどもの歌コンクールこども部門銀賞、2023年日本テレビ歌唱力日本一決定戦出演、2018年テレビ朝日題名のない音楽会・オーケストラと夢をかなえる夢響出演、第10回全国ファミリ―音楽コンクールinよっかいちグランプリ文部科学大臣賞、第1回全日本子どもの歌コンクール優秀指導者賞、カワイ歌のコンクール最優秀指導者賞、AMAピアノと歌と管弦打のコンクール優秀指導者賞受賞。
【現在】
厚別西ピアノ・うた・ミュージカル教室主宰、カワイ音楽教室ピアノ・声楽・コーラス担当、 国際声楽コンクール東京・プリマヴェーラ声楽コンコルソ審査員、札幌大谷高等学校同窓会ペオニア会員、カワイ音研会会員、PSTA会員、AMA【All Music Association】北海道支部長、全日本マナー検定協会マナーアドバイザー、チャイルドカウンセラー、家族療法カウンセラーを務める。