【インタビュー】2025年12月6日(土)豊田悠華&澤野由季デュオリサイタル
2025年12月6日(土)に日暮里サニーホール・コンサートサロンで豊田悠華&澤野由季デュオリサイタルを開催いたします。リサイタルに向けて豊田悠華さん、澤野由季さん、石井愛理さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。
インタビュー
今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。
豊田さん:昨年の草津国際音楽アカデミーで出会ったお二人と共演いたします。2週間の濃密なアカデミー期間を終え、石井さんは音楽教室で多くの生徒を指導し、澤野さんは医師、私は会社員として働きながら、それぞれの環境で音楽と向き合ってきました。今回ふたたび集まり、昨年からの1年の歩みと、環境の変化を共有しましたが、音楽からも、それぞれが今年重ねてきた時間や音楽への思いを強く感じ取っています。
年末という節目でもありますので、ご来場の皆さまには、この一年の集大成をお届けできれば幸いです。そして「今年も良い一年だった」と感じていただけるようなひとときを、皆さまと共有できればと思います。
澤野さん:今回共演する豊田さん、石井さんとは草津の音楽祭で出会いました。豊田さんとは宿泊先が同じで、アマチュアとして音楽を学びながらコンクールにも挑戦しているという共通点から親しくなり、滞在中は毎日のように音楽の話をしていました。
その音楽への愛情と熱意に刺激を受け、自分にとっても大切な出会いとなりました。
自分たちで作り上げるアンサンブルコンサートは初めてで緊張もありますが、共に音を形にしていく過程はとても貴重で楽しく感じています。
お互いに音楽とは別の仕事を持ちながらも、演奏家としての想いを胸に研鑽を重ねてきました。
私たちにしか表現できない響きを届けられるよう、心を込めて演奏したいと思います。
観客の皆さまにも楽しんでいただけたら嬉しいです。
石井さん:お二人とのご縁は、草津国際音楽アカデミーでの出会いから始まりました。
豊田さんから「一緒にコンサートを」とお誘いいただいた際は大変嬉しく、毎回のリハーサルを心待ちにしてまいりました。
温かみのあるオーボエの音色と華やかなヴァイオリンの響きが重なり合うことで生まれる、色彩豊かな音楽をお届けできればと思っております。
三人で創り上げた音の世界を、ぜひご堪能ください。
演奏する曲の聴き所などを教えてください。
豊田さん:デュオ曲は原曲が高音域同士で書かれており、いずれも輝かしくソリスティックな作品です。ピアノはオーケストラの役割を担い、3人ながら大きなスケールで演奏いたします。
また、各楽器ごとの魅力も感じていただきたく、ソロ曲を挟んでいます。私が演奏するアンリ・デュティユーのオーボエ・ソナタは、長年取り組んできた大切な一曲です。1・2楽章を経て3楽章へと展開するデュティユーの世界をぜひお聴きください。
澤野さん:どの曲も聴き応えのあるプログラムですが、特にバッハの《ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲》はぜひお聴きいただきたい一曲です。
去年まで自分にオーボエの友人ができるとは思っていなかったので、この曲を共に演奏できることをとても嬉しく感じています。
伴奏の石井さんはバッハへの愛情が深く、練習の場でも大きな支えとなってくださいました。楽器への愛情と仲間への敬意を胸に、心を込めて演奏いたします。どうぞお楽しみください。
石井さん:今回のプログラムでは、バッハのコンチェルトの大曲を軸にしつつ、幅広いスタイルの作品にも挑戦しています。
どの曲も、それぞれの音楽が持つ魅力を三人で探求し、丁寧に表現することを大切にしました。
中でも、「ウィリアム・テル」では躍動感とドラマ性を、そして「Io ti penso amore」では、切ない曲調に込められた熱い想いを音で表現することを意識しています。幅広い時代・ジャンルに挑戦した三人による音の可能性を、ぜひお楽しみください。
あなたにとって音楽とは何ですか。
豊田さん:音楽は、自分の世界と人生の幅を広げてくれる存在だと感じています。絵画から、自分が生きていない時代の、行ったことのない国の街並みを見るように、また小説から、自分が知らない感情や思考に触れるように、音楽もまた、作品を通して作曲家の人生や、まだ見ぬ世界へと導いてくれます。その過程で、人生に深みが増すように思います。コンサートを通じて、楽譜から演奏として再現し、ご来場の皆さまに新しい出会いをお届けできることを、心から嬉しく思います。
澤野さん:私にとって音楽は、心を整え、人生に彩りを与えてくれる大切な存在です。
幼少期からバイオリンを続けていましたが、社会人になった時に一度離れ、気づけば10年の歳月が経っていました。再び音楽に向き合うようになってからは、大人になった今だからこそ感じる音の深さや優しさに、あらためて魅了されています。今回のコンサートでは、仲間と音を重ねる喜びを通して、音楽の世界の広がりを実感しました。これからも音楽と関わり続け、医療と音楽を結びつける新しい形を模索していきたいと思います。
石井さん:私にとって音楽とは、人と人の心を結ぶものです。
演奏に込めた想いが聴く方の心に届いた瞬間、音楽を通して見えない線で人々が結ばれているように感じます。その時、音楽をやっていてよかったと心から思います。
また、私たち三人も心をひとつにして音を紡ぐことで、より深い表現が豊かな色彩を持った音へとつながります。
今回のコンサートも、こうしたつながりがあって実現したものであり、音楽を通して聴いてくださる皆さまと心を重ねるひとときを作れたらと願っています。
演奏会情報
出演者

豊田悠華
Toyoda Yuka,Oboe
全日本管楽コンクール2024一般部門1位。第25回大阪国際音楽コンクールアマチュア部門ヴィルトーゾコース1位。ズーラシアンウッドウインズソロコンクール2025最優秀賞。Musica Panenkaチェコ音楽の祭典コンクールGrandiosoコース管楽器部門最優秀賞。第44回草津夏期国際音楽アカデミー、T.インデアミューレ・クラスを受講。これまでにオーボエを池田肇氏、戸田智子氏に師事。IT企業でSNSマーケティングセールスに従事し、多くのブランドのプロモーションを手がけている。

澤野由季
Sawano Yuki,Violin
森ゆう子、岩下ゆり子、掛谷洋三、加藤玲名の各師に師事。1997年~2005年宮日音楽コンクールに於いて、入賞、優秀賞を重ねる。第34回県高校独唱・独奏コンクール金賞及びグランプリ受賞。第10回大阪国際音楽コンクールアマチュア部門エクセレンスコース文化奨励賞受賞。第44、45回草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルにてカリーン・アダム氏のマスタークラスを受講。第25回大阪国際音楽コンクールアマチュア部門ヴィルトーゾコース1位受賞。現在、医師として勤務。

石井愛理
Airi Ishii,Piano
桐朋学園大学卒業。日本バッハコンクール、鎌倉市学生音楽コンクールなど多数受賞。学内選抜Student’s Concert、ピアノ専攻卒業演奏会に出演。第91回横浜新人オーディション合格及び横浜音楽協会賞受賞。これまでに鈴木陽子、小田裕之、菅生晴美、今井彩子、中井恒仁、コルネリア・ヘルマン各氏に師事。チェンバロを有田千代子、辻文栄、オルガンを飯靖子、クラウディオ・ブリツィ、室内楽を石岡久乃、若林顕、加藤真一郎各氏に師事。
曲目
ドゥメルスマン、ジュール=オーギュスト:「ウィリアム・テル」の主題による華麗な二重奏
フリッツ・クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス作品6
アンリ・デュティユー:オーボエ・ソナタ
デイヴィッド・ギャレット:愛しい人よ
J.S.バッハ:ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲 ハ短調 BWV1060
-
前の記事
【コンクール結果速報】第12回東京国際ピアノコンクール本選【キッズの部・小学5~6年生の部】11月30日(日)小松川さくらホール・多目的ホール 2025.12.01
-
次の記事
記事がありません
