成田秀雄さん(声楽部門マスターズG男声の部第1位)第4回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

成田秀雄さん(声楽部門マスターズG男声の部第1位)第4回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

第4回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

成田秀雄 声楽部門マスターズG男声の部 第1位

中田 喜直/歌をください

Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。

――このたびは東京国際管弦声楽コンクール マスターズG男声部門において、初めて優勝という評価をいただき、身に余る光栄に存じます。これまで何度も挑戦してきましたが、なかなか1位に届かず悔しい思いを重ねてまいりましただけに、今回の受賞は胸がいっぱいになるほど嬉しく、長い挑戦の歩みが実を結んだように感じております。50歳から声楽を学び始めた私にとって、この舞台は“挑戦に年齢は関係ない”ということを改めて実感させてくれる場でした。振り返れば、日々の練習や舞台での経験、先生方からのご指導など、その一つひとつが今日につながっていたのだと深く感じております。五十嵐郊味先生をはじめ、共演者の皆さま、そして長く支えてくれた家族に心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、これからも慢心することなく、音楽に対して誠実に向き合い、より良い歌を追求し続けてまいります。

Q.練習以外に音楽と向き合うためにしていることがあれば教えてください。

――練習以外で音楽と向き合う時間として、私にとって大切な趣味が「料理」です。特に最近は、真空低温調理で肉や魚をゆっくり仕上げることが楽しみになっており、じっくりと火を入れていく過程は、声を整える作業ともどこか共通点を感じます。真空調理では温度が1〜2度違うだけで仕上がりが変わるため、素材の状態をよく観察しながら進めます。この「小さな変化を見逃さない姿勢」は、発声の調整やフレーズの作り方にも通じ、趣味でありながら音楽に良い影響を与えてくれているように思います。また、旬の食材を選ぶことで季節の移ろいを感じられるのも料理の魅力です。季節の香りや色合いに触れると、その時期の空気感や情景が自然と思い浮かび、曲の世界観を作る際のヒントになることもあります。真空低温調理の機械が静かに作動する音に耳を澄ませながら、次の舞台でどんな表現ができるだろうかと考える時間も、密かな楽しみです。料理はあくまで趣味ですが、こうした日常の作業が、音楽と向き合う心の準備にもなっていると感じます。これからも生活の中の小さな楽しみを大切にしながら、音楽への理解を深めていきたいと思っています。

Q.今後の意気込みをお聞かせください。

――今回の受賞は、私一人の力では決して届かなかったものだと感じています。これまでご指導くださった先生方、共演者の皆さま、そして長い挑戦を見守り支えてくれた家族に、改めて深く感謝申し上げます。今回の経験を励みに、今後も謙虚な姿勢を忘れず、より深い音楽表現を目指して研鑽を続けていきたいと思います。また、地元である三条市での活動も、私にとって大切な原点です。地域の皆さまに育てていただいたことを忘れず、身近な場でも喜んでいただける歌を届けられるよう、今後も積極的に活動してまいります。音楽を通じて、地元に少しでも貢献できればと思っています。将来的には、自分の成長の節目として、ささやかでも温かい雰囲気のソロリサイタルを開くことができればという夢を持っています。そのためにも、日々の積み重ねを大切にし、技術・表現・身体づくりにおいて少しずつでも前に進んでいけるよう努力を続けます。これからも一つひとつのご縁に感謝しながら、音楽と誠実に向き合い、聴いてくださる方の心に届く歌を追求してまいります。