2026年7月12日(日)に日暮里サニーホール・コンサートサロンで「池田虎之介&となりりカルテット~チェロと弦楽四重奏の夕べ~」を開催いたします。リサイタルに向けて池田 虎之介さん、増田 七彩さん、宮澤 理奈子さん、伊藤 理子さん、吉武 優さんにインタビューいたしましたので、ご覧ください。
インタビュー
今回のリサイタルに向けての抱負を教えてください。
池田さん:今回共演する同級生の3人は、高校に入学してからセミナーや学内のコンサートなどで何度も一緒に弾いてきた友達で、ひとりひとりの音楽性と人間性を心から尊敬しています。昨年から本格的に弦楽四重奏「となりり⭐︎カルテット」として勉強を始めて、今では僕の音楽生活の中でなくてはならない存在となっています。今回僕たちの音楽をお客様に聴いていただけるのを本当に嬉しく思います。また、前半にご一緒するピアニストの吉武優先生は、初めてお会いしてからまだ1年半程しか経っていないのに、ハイドンからコルンゴルトまで幅広いたくさんの曲を共演してきました。毎回本番前は先生のあたたかさに背中を押されています。
高校に入学してから出会った大切な友人や先生と音楽を作り上げるのを今からとても楽しみにしています!
増田さん:同級生4人でこのような素敵な舞台に立たせていただけることを、とても嬉しく思っています。
普段の合わせでは、4人ともかなりおしゃべりなので、気づいたら全然関係ない話で盛り上がってしまって「まだ1ページしか進んでない!」なんてこともよくあります。笑
でも、そうやってたくさん笑い合いながら過ごしている時間も含めて、このメンバーだからこそ作れる空気感だと思っています。
それぞれ個性も音色も違う4人ですが、その違いを楽しみながら、一つの音楽を作っていく過程が本当に楽しいです。
本番では、仲の良さや自由な雰囲気だけでなく、4人で積み重ねてきた音楽も感じていただける演奏にしたいです。
私たちらしい“アメリカ”をお届けできるよう、精一杯演奏します。
宮澤さん:一年前に結成したとなりりカルテットとしてまた集まり、こうした演奏会に出演できることを大変嬉しく思います。 カルテットとしても同級生としてもとても仲の良い4人のそれぞれの音色を皆さんにお届けしたいです。
伊藤さん:いつも一緒に弾いているカルテットのメンバーと演奏することができ、とても嬉しいです。毎回の合わせでたくさんの刺激を受けているメンバーと音楽を作り上げてお客様にまた聴きたいなと思っていただけるような演奏をお届けできるように頑張りたいです!
吉武さん:ラフマニノフの情熱と繊細さを、チェロと呼吸を重ねながら描きたいと思います。
演奏する曲の聴き所などを教えてください。
池田さん:ドヴォルザークとラフマニノフ、一見関連のなさそうなこのふたりの共通項はアメリカです。ドヴォルザークはアメリカの音楽院に勤めて新大陸の文化から影響を受け、ラフマニノフは故郷の情勢が不安定になり後生アメリカを活動拠点の一部としました。
ただ、最初に演奏するラフマニノフのチェロソナタは彼がアメリカに行くよりも前の作品です。有名なピアノ協奏曲2番と同じ年に書かれたこの曲からは、全楽章を通してロマンティックな叙情性が感じられます。沈んだ底から這い上がって愛を掴み取り、最後には人生の素晴らしさを歌いあげる、そんなドラマをお届けできたらと思います。
そしてその後に演奏するドヴォルザークの弦楽四重奏曲第12番は、有名な交響曲第9番「新世界より」の翌年に書かれ、「アメリカ」の愛称で親しまれる非常に楽しい作品です。ネイティブ・アメリカンの歌や黒人霊歌から大きな影響を受けて作曲されたこの曲にはどこか懐かしくなるメロディが沢山詰まっています。彼自身が持つチェコの民族音楽の要素、そしてアメリカで出会った民族音楽、正統派のヨーロッパの音楽から少し離れたドヴォルザークの血の音楽は僕たち日本人の心にもどこか通ずるものがある、僕は最近そう思っています。
増田さん:今回演奏する 弦楽四重奏曲第12番《アメリカ》 は、4人全員が大好きな作品です。
初夏の風のような爽やかさや、どこか新しい世界へ向かうような期待感にあふれていて、演奏していると景色が広がっていくような感覚になります。
軽やかで親しみやすいリズムの中に、ふと懐かしさを感じるような郷愁のメロディーが現れるのも、この曲の大きな魅力です。
楽章ごとに表情が大きく変わるので、4人それぞれの掛け合いや音色の変化にもぜひ注目していただけたら嬉しいです。
そして何より、賑やかでエネルギッシュな私たち4人だからこそ出せる空気感を楽しんでいただけたらと思います。
会場いっぱいに広がる“アメリカ”の世界を、ぜひお楽しみください。
宮澤さん:この曲は、ドヴォルザークがアメリカ滞在中の3日間で書き上げた曲です。 曲中には、ドヴォルザークの象徴とも言われる蒸気機関車の音や、黒人霊歌など新鮮で親しみやすい旋律がみられます。
伊藤さん:ドヴォルザークのアメリカは作曲者のドヴォルザークがアメリカ滞在中に作曲された作品です。聴いていたら自然とアメリカの雄大な風景が思い浮かぶような旋律がポイントだと思います。それぞれのパートにたくさんの見せ所があるので是非注目して聴いていただきたいです!
吉武さん:深い叙情と激しい情熱が交錯する作品です。まるでピアノ協奏曲のようなスケール感も魅力です。
あなたにとって音楽とは何ですか。
池田さん:どんな時でも変わらずに、美しさと情熱を与えてくれるものだと思います。日々生きていると色々なことがありモヤモヤしたり気分が沈んだりすることもありますが、ひとたび楽器を弾きはじめれば、曲の美しさに引き込まれ音楽のことだけを考えることができます。作曲家が残した作品と向き合っていると、毎日の色々な出来事や気持ちを「それが人生だ」と肯定してもらったような気持ちになるのです。
そして音楽と触れる時の幸せな気持ちは、たくさんの人をひとつにしてくれます。誰かと一緒に弾いて絆が深まり「また弾きたい」と思う瞬間や、演奏会の後に見ず知らずのお客様も合わせて会場全体が興奮するひとときは何にも変えがたい喜びです。音楽が持つ雄弁さは、生きることに伴う感情の豊かさをいつも僕に思い出させてくれます。
増田さん:私にとって音楽は、「布団」のような存在です。
嬉しい時も、落ち込んだ時も、自然と戻ってきたくなる安心感があります。
うまく言葉にできない気持ちを包み込んでくれたり、背中を押してくれたり、気づいたらいつもそばにいてくれる存在です。
大変な時でも、音楽があると「また頑張ろう」と思えます。
ふわっと包み込んでくれるような安心感と、なくてはならない大切さ。
私にとって音楽は、そんな存在です。
宮澤さん:私にとって、音楽は言葉です。 表現をするにあたって、まるで言葉を喋るように弾くことがあったり、作曲家自身が言葉を音符にしたのかなと想像できるフレーズも見られます。 言葉で伝えられないような微細な表現も音楽に乗せて共有できる感覚がとても好きです。
伊藤さん:私にとって音楽は自然と心を落ち着かせられるものだと思います。日常で辛いことがあっても楽器を弾くと忘れられて没頭することができます。練習は楽しいことだけではなく大変なこともたくさんありますが、その先の乗り越えた時の達成感がいつもモチベーションになってます。
吉武さん:言語やバックグラウンドを越えて、人と人を繋ぐ喜びに満ちたものだと思います。
演奏会情報
出演者

池田 虎之介 Toranosuke Ikeda・Violoncello
第78回全日本学生音楽コンクール全国大会高校の部第1 位、併せてN H K会長賞、音楽奨励賞を受賞。第4回須田音楽奨励賞など多数受賞。東京藝術大学音楽学部附属音楽高校3 年、中木健二氏に師事。使用楽器は日本ヴァイオリンソサエティを通じて国内法人より貸与されている1960年製Marino Capicchioni。

増田 七彩 Nairo Masuda・1st.Violin
大阪国際音楽コンクール第3位。全日本学生音楽コンクール小・中学校の部全国大会入選。みえ音楽コンクール小学校第1位・岡田文化財団賞, 中学校第1位・三重県知事賞,高校第1位・三重県知事賞。日本演奏家コンクール第2位・愛知県教育委員会賞。かながわ音楽コンクール特選。東京藝術大学附属音楽高等学校3年在学中。

宮澤 理奈子 Rinako Miyazawa・2nd.Violin
2008年生まれ。2019年、2025年草津国際音楽アカデミーにてスチューデントコンサートに出演し、2019年西村朗音楽監督賞を受賞。天下統一アンサンブル・アカデミー2025に参加。これまでに太田麻起子、カリーン・アダム、澤亜樹、山﨑貴子の各氏に師事。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校3年在学中。

伊藤 理子 Riko Ito・Viola
5歳よりヴァイオリンを始める。第25回日本演奏家コンクール特別賞。第19回ベーテン音楽コンクール第1位。2018年に神戸市室内合奏団と共演。天下統一アンサンブルアカデミー、霧島国際音楽祭等のマスタークラスを受講。現在、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校3年在学。野口千代光、漆原朝子の各氏に師事。

吉武 優 Masaru Yoshitake・Piano
東京藝術大学及び大学院修了。ベルリン芸大でJ.ルヴィエ氏の下に学び、国家演奏家資格課程を修了。第28回飯塚新人音コン及び第7回かずさアカデミア音コン優勝。第81回日本音コン入選。第69回ジュネーヴ国際セミファイナリスト。国内外の音楽祭に多数出演。東京藝術大学非常勤講師を経て、現在桐朋学園大学講師。
曲目
ラフマニノフ:チェロとピアノのためのソナタ ト短調 作品19
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96「アメリカ」

