林良生さん(声楽部門マスターズAの部第1位)第4回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー
- 2025.12.01
- コンクールオーディション
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第4回東京国際管弦声楽コンクール入賞者インタビュー

林良生 声楽部門マスターズAの部 第1位
G.ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」より 私だ、カルロよ…私の最期の時がやってきた(ロドリーゴ役)
Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。
――第1位を頂戴し、率直にうれしいです。また、やっと終わった、ホッとした、という安堵の気持ちもあります。今回の経験を糧に、また次の目標に向かって、新しいチャレンジをしていきたいと思います。このコンクールの参加を含め、土日に音楽活動を行うには、家族の理解が欠かせません。小さな子どもがおりますので、妻には負担をかけている場面もありますが、大変感謝しています。また、普段ご指導いただく先生、毎回一緒に演奏を作り上げて頂く伴奏ピアニストにも、この場を借りて感謝申し上げます。
Q.当コンクールに参加されたきっかけを聞かせてください。
――発表の機会が大きく減ったコロナ時期に、40歳を目前にして、1年に一回門下発表会で歌うだけで本当に満足なのか、自分の中で強く疑問に思うようになりました。発表会に向けて曲作りをするエネルギーは、普段の何もないタイミングとは比較になりません。曲探しから本番に向けた練習の密度、本番の緊張感とその中で得られる貴重な経験。1年に一回しかチャンスがないのは非常にもったいないと。人生の後になって、あの時もっとやっていればよかったと思いたくないし、40歳という一番いい時期に、もっと歌いたい、もっと上手に歌えるようになりたい、もっと発表の機会が欲しい、と強く思うようになりました。このような気持ちから、師事する先生にコンクール受験を相談したところ、背中を押して頂き、2023年より再びコンクールを受験するようになりました。このコンクールは2023年に続き2度目の参加となりますが、各先生から毎回短時間なのに的確な講評を頂戴できるので、次回に向けて大変励みになります。
Q.本選での選曲について、選曲理由、作品の聴きどころについてお聞かせください。
――選曲に際しては、自分の声やキャラクターが曲に合うか、自分らしい表現ができるかを重視しています。また、新しい曲を通じて、レガートや高音を含む技術的な課題の克服もしたいと思っていました。今回選んだ曲は、ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の、一般に「ロドリーゴの死」と呼ばれる部分の前半を採り上げています(今回は歌いませんでしたが、この後の後半では、銃弾を受けて息絶えることになります。)。前半はロドリーゴが死を覚悟して、カルロに別れを告げ将来を託す場面で、カルロに対して語りかける内容になります。高潔、気丈、理性、繊細、こういった言葉が連想されるような、そんな世界感を目指しました。まだまだ技術的には課題がありますが、理想に少しでも近づきたいと思っています。
Q.今後の意気込みをお聞かせください。
――音楽の世界で出会う方々には、人生の諸先輩方を含め、みなさんのバイタリティやエネルギーに驚かされることが多いです。私もそんな皆さんから刺激を受けながら、仕事にせよ音楽にせよ、有限の時間を有効に活用して、エネルギッシュに活躍の機会を増やしていきたいと思います。また、バリトンとしては、より深みのある多様な色の出せるバリトンを目指していきたいと思います。
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