第51回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール入賞者インタビュー

内貴龍聖 声楽部門大学生の部 第1位
S.ラフマニノフ/「アレコ」より すべては寝静まり (アレコのカヴァティーナ)
Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。
――長い歴史を持つ全日本ジュニアクラシック音楽コンクールにおいて、第1位を受賞できたことを、大変嬉しく、光栄に思っております。今回の受賞は、私自身にとって特別な意味があります。私は第47回大会にも出場しましたが、その時は本選で結果を残せず、全国大会に進むことができませんでした。その悔しさを糧に、自分自身の声や音楽とより真摯に向き合い、試行錯誤を重ねてまいりました。そして再び同じコンクールに挑戦し、今回は第1位をいただけたことに、これまでの積み重ねと自身の成長を感じております。しかし、今回の受賞をゴールとは考えておりません。現在大学4年生であり、ここから声楽家としてのキャリアが始まります。この第1位という結果に恥じない歌手になれるよう、今回の受賞を新たな出発点として、これからも自分の音楽を追求してまいります。最後になりましたが、これまでご指導くださった先生方をはじめ、支えてくださった家族や友人、関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
Q.音楽を始めたきっかけ、当コンクールに参加したきっかけを聞かせてください。
――私が音楽を始めたきっかけは、高校2年生の音楽の授業でした。声楽の授業で「O sole mio」を歌ったところ、先生がとても褒めてくださったのです。それまでの私は、歌うことにはむしろ苦手意識があり、合唱でも無意識にビブラートがかかり、周りから浮いてしまうことに悩んでいました。それでも、先生に褒めていただいたことが嬉しく、授業で聴いて衝撃を受けたシューベルトの「魔王」を、自分でも歌ってみることにしました。当時は楽譜も読めず、ドイツ語もわからなかったため、すべて耳で覚えて歌っていました。そこからコンクールにも挑戦するようになり、イタリア古典歌曲など、様々な歌手の演奏を聴いて真似しながら練習するうちに、次第に声楽の世界に魅了されていきました。それまでの私には、進学して就職するという漠然とした将来像しかありませんでしたが、声楽と出会い、これこそが自分の生きる道だと感じ、オペラ歌手を目指すようになりました。その中で、自分の実力を試すとともに、成長を確かめる場として、このコンクールに参加させていただきました。
Q.本番前のリラックス方法・ルーティーンを教えてください。
――本番前は、できる限り普段通りに過ごすよう心がけています。以前は、コンクールとなると気合を入れて特別な準備をしたり、自分なりのルーティーンを作ったりしていました。しかし、オペラに出演するようになってからは、日々の練習や本番があり、必ずしも自分の思い通りにルーティーンを作れるわけではありません。そこで、特別な準備をするというよりも、普段から「いつ本番を迎えても歌える」状態を作っておくことを大切にするようになりました。もちろん、日によって調子が良くないこともあります。そうした時でも、その日のコンディションに合わせて、無理のない発声で、安定して歌えるようにすることを心がけています。本番直前は、今でもかなり緊張します。ただ、舞台に立った瞬間からは、自分自身としてではなく、その役として生きることを意識しています。そうすることで、自分の緊張に意識が向きすぎることなく、自然と役として生きることに集中できるようになりました。
Q.これからコンクールに参加する人へアドバイスをお願いします。
――私自身、まだアドバイスできるような立場ではありませんが、コンクールに臨む際に、大切にしていることを共有させていただきます。まず「コンクールだから」と特別な音楽をしようとしないことです。審査員の先生方や結果を意識して曲や表現を選ぶのではなく、自分自身の声と音楽に真摯に向き合い、その魅力を最も引き出せる作品を選ぶ。そして、普段の練習で積み重ねてきたものを、そのまま舞台で届けることが大切だと思います。特にオペラアリアを歌う際は、アリアだけでなく、オペラ全体を勉強することが重要だと考えています。なぜこの役はこの言葉を選ぶのか、なぜ作曲家はこの役にこの音楽を与えたのか。とにかく「なぜ?」を突き詰め、物語や原作、時代背景、作品の成立過程や演奏の歴史まで学び、その役の本当の姿を見つける。そうすることで初めて、アリアだけを歌う場であっても、その役として存在できるのだと思います。そして、学んだことを自分の中だけにとどめず、伝えることも大切です。審査員の先生方だけでなく、その場で聴いてくださるすべての方と音楽を共有する。その意識こそが、音楽家としても、コンクールに臨む上でも、大切だと思っています。
Q.今後の目標、どんな音楽家になりたいか聞かせてください。
――私の最大の目標は、オペラを日本に根付かせることです。私はオペラを心から愛しており、その魅力を一人でも多くの方と分かち合いたいと思っています。オペラは西洋の文化であるとともに、愛や憎しみ、喜びや苦しみといった普遍的な感情、人間の姿を描く芸術です。だからこそ、時代や国境を超えて、日本の方々にも必ず伝わるものだと信じています。そのために、歌だけでなく演技や語学、作品への深い理解を兼ね備えた、存在感のある歌手になりたいです。まずは自分自身が世界の舞台で通用する歌手になること。そして将来は、その経験を土台に自ら劇団や研修の場を立ち上げ、次の世代の歌手を育てることも目指しています。私自身、高校時代に夢を見つけられずにいた時、オペラに出会い、生きる喜びを与えてもらいました。だからこそ今度は、私がオペラに恩返しをしたい。私の歌や活動を通して、かつての私と同じように、人生を変えるほどの何かを見つける人を一人でも増やしたい。そして、「また劇場に足を運びたい」と思ってくださるお客様を増やしたい。人生をかけてオペラの魅力を伝え続けること。それが、私が音楽家として果たしたい使命です。
Q.あなたにとって音楽とは?
――僕のすべて。


