【優秀指導者賞受賞者インタビュー】鮒井朋子先生

【優秀指導者賞受賞者インタビュー】鮒井朋子先生

2024年に開催された「第47回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール」では、117名の先生が優秀指導者賞を受賞しました。

今回は生徒様だけでなくご家族様とのコミュニケーションをとても大切に、まずは心を通わせるということが信頼にも繋がりそれが上達への第一歩、それぞれの性格や特徴を的確に捉え、個性に合わせ寄り添える指導者である鮒井先生にお話しを伺いました。

インタビュー

この度は第47回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール優秀指導者賞受賞おめでとうございます。弊会コンクールに関して先生の感想やご意見、レッスンされている際に心かけていること等をお聞かせいただければ幸いです。

早速ですが、ご入賞された生徒様にはどのような言葉をかけられましたか?

それぞれの生徒達に対して、まずは「おめでとう!」と共に、日々の練習の中で、成果のあった練習法や取り組みについて子供達に分かりやすく具体的に述べ褒めるようにしています。また今回のコンクールを通じて大きく成長した点、また今後の課題としてさらに力を入れるべき点についてもその都度お伝えしています。成果が出せたときも、反対に前回より結果が伸びなかったときも、ここに至るまでの過程がとても大切であることをお話しし、努力した日々を労い称賛するようにしています。

どんな結果であっても生徒様の日々の努力と成果の過程を大切にされているのですね。また次のステップアップとしてさらなる目標へと明確にご指導する先生の姿が輝かしいです。
今回のコンクールで1番印象的だった思い出や出来事はありますか?

前回や前々回の全国大会において、審査員賞を受賞した生徒達に称賛の言葉を掛けたところ「数字がほしかった」と皆が一様に口を揃えたことが大変印象的でした。過去に努力して連続第1位を受賞した生徒や、毎年目標の第5位以内を受賞し続けている生徒が彼女たちのいいお手本となっていること、また、それほどまでにそれぞれが真剣に取り組み意識をもって挑んでいたことに改めて気づかされる思いでした。私からは「審査員賞は、立派な第6位なのよ♪」と声をかけています。

先生と生徒様との良い信頼関係が伝わってきますね。
常に結果だけに満足せず、より高いレベルを目指して努力を続けている生徒様の姿がとても素敵です。先生の前向きな励ましにより生徒様の向上心はさらに高くなっていくと信じています。因みにレッスンの中では大切にされていることは何ですか?

まずは生徒たちに今週褒めるべきところをしっかりと伝える、その上で課題となるところをお話し、次のレッスンまでの見通しを立て、できるだけモチベーションをあげて練習に励むことができるような伝え方をするように心がけております。また、生徒やご家族様とのコミュニケーションをとても大切にしています。まずは心を通わせるということが信頼にも繋がり、それが上達への第一歩になると考えているからです。そして、これは長年の私の指導におけるポリシーの一つでもありますが、生徒それぞれの性格や特徴を的確に捉え、個性に合わせた言葉がけや対応をするよう常に心がけるようにしております。また、ピアノに関わる各ご家庭での親御さんのお悩みに対し、気軽にご相談いただき、常により良い方向に向かい寄り添える指導者でありたいと考えております。成長に伴い生じる親子の悩み、その時期のピアノと子供との関わりかたなどについても、私自身の子育ての経験からその苦労もよく理解しているつもりですので何でも共有して進めていきたいと感じています。

本当にコミュニケーションを取ることは何より大切ですよね。お一人お一人の個性や才能に合わせた指導をすることは難しいことと感じますが、生徒様とご家族様とのコミュニケーションを通じ、寄り添い、成長をサポートすることは一番の支えであると感じます。その上スキルや知識を学んでいくことでより高く自分を作るための基盤を築けていくのだと考えます。先生は、ご家族様ともコミュニケーションをしっかり取られているのがとても印象的でした。どのように関係性を気づいているのか子育て面以外でなにか意識しているものや秘訣があれば教えていただきたいです。

ご縁を頂いた大切な生徒さんや親御さんとのレッスン前後の何気ない会話、これこそ【今の現状】を把握する大きなきっかけ、そしてそれが指導のヒントに繋がることも少なくありません。生徒たちにとって、例えばそれぞれの興味の対象(好みの物や遊びなど)は、実に様々です。これを、特に小さな生徒たちの音楽性を伸ばす大きなアイテムと捉えて、指導の折に活用することもしばしばあります。また学校でのご様子、他の習い事との兼ね合い、通塾など、個々が抱える環境は実にさまざまであり、時には何かが妨げとなり充分な練習時間が確保できずにレッスンに通っていることもあるかもしれません。「今レッスンに必要なアプローチは何か、そして悩みはないか」などについて出来るだけ把握するように心がけることは、指導者として留意する点を見つける大きなきっかけとなっているように思います。生徒たちとのやり取りの中で、親御さんとも自然と会話が弾み、時にはお母様の趣味のお話などまで発展することもあります。常に自然体で接することのできるレッスンを心がけることにより、結果として個々の生徒の環境や心情にいち早く気付くきっかけができ、それが個性を活かした音楽性を築く手助けにもなっているのではないかと常々思っております。そして、生徒それぞれのその時の状況を鑑み、寄り添っていくことが、ひいては自分の指導の可能性を拡げていくことにも繋がるのではないかと信じて日々指導にあたっております。

先生は理想の講師像のようなものはありますか?

私の恩師でありますE.トゥーシャ先生です。学生時代より、ピアノを通し演奏のみならず、時代背景、曲と自然界との関連、ひいては人生とは何かに至るまで、実に様々なことを学ばせていただきました。ある一曲から、そこに内在する作曲者の思いを想像し表現することの奥深さや、常に作品に対してある意味謙虚であることの意味を教えていただきました。また音楽面のみならず、人として、女性として大変学ぶことが多く、私の人生の指針となっていることは間違いありません。成長した生徒たちにとって、いつか私も恩師のような存在になることができれば、こんなに嬉しいことはありません。

最後に今回ご入賞された生徒様へ日頃なかなか直接言えないメッセージなどがあればお願いいたします。

生徒やご家族様とはコンクールの準備期間中や終了した後も、様々なことをお話ししておりますので直接言えないことなどは何一つないと思っております(笑)ですが改めて、コンクールに向けてのレッスン中の生徒とのやり取りは、私の心にたくさんの思い出となって残っています。そしてこの貴重な経験こそ、ピアノだけでなく生徒達のこれからの人生において必ず役立つ時が来ると信じています。これからも志は高く、目標をもって励んで参りましょう!

インタビューにご協力いただきましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いします。

プロフィール

鮒井 朋子
ふないともこ, ピアノ

武蔵野音楽大学附属音楽教室ピアノ科講師。Luminous Piano♪ルミナスピアノ教室主宰。