吉田知史さん(小学6年生の部第1位)第12回東京国際ピアノコンクール入賞者インタビュー

吉田知史さん(小学6年生の部第1位)第12回東京国際ピアノコンクール入賞者インタビュー

第12回東京国際ピアノコンクール入賞者インタビュー

吉田知史 小学6年生の部 第1位

F.ショパン/マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5

Q.ご入賞された今のお気持ち・感想を聞かせてください。

――今回の1位という結果を聞いた瞬間は、言葉にできないほどの驚きと喜びが同時に込み上げてきました。実は、コンクール直前に自分の演奏に自信がなくなってしまったのです。しかし、先生は信じていると言って励ましてくださって、少しでもできることをやろうと思い、本番まで、先生方からいただいたアドバイスを、一つでも多く取り入れることに集中するようにしました。本番は、正直なところ、満足のいく演奏ではなかったため、入賞は難しいと思っていたので、結果を知った時は、本当に嬉しかったですし、支えて下さった先生方に感謝の気持ちでいっぱいになりました。あの時、諦めずに挑戦して本当に良かったと心から思っています。この経験を忘れず、これからも音楽と向き合っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

Q.本選での選曲について、選曲理由、作品の聴きどころについてお聞かせください。

――今回演奏した『マズルカ風ロンド』は、先生が選曲してくださいました。大好きな曲だったので、この曲を弾くことが決まった時はとても嬉しかったです!この曲は、ショパンが16歳の頃に作曲された作品で、ショパンの故郷ポーランドの踊りの音楽であるマズルカのリズムがちりばめられた、とてもおしゃれな曲です。軽快で華やかな部分と、温かく優しいメロディーの思わずうっとりとしてしまう中間部があり、その対比がとても素敵なので、大切に演奏しました。また、キラリと涙がこぼれるような切ない旋律が出てくるところも、この作品の聴きどころだと思います。もっともっと磨いていきたいです。

Q.思い出のレッスンはありますか。

――課題はたくさんありますが、今回、特に難しかったのは、迫力のある大きな音を、美しく豊かに響かせることでした。なかなか響きのある「良い音」が出せずいた時、先生がユニークな練習方法を教えてくださいました。それが、「立って弾いてみて、良い音を出す感覚をつかむ」という方法です。鍵盤との距離感や、肩の力を抜いて腕全体の重みをどう伝えるかといった感覚が、座っている時とは全く異なり、先生が意図されている「体の使い方」を掴むヒントになりました。まだ、その感覚を常に自分のものにするのは難しいですが、先生から教えていただいたことを忘れずに、今後も豊かな響きを目指して練習を続けていきたいと思います。